卵子提供と日本の法制度 — 2020 年民法特例法の整理
2020 年に成立した「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」により、卵子提供で生まれたお子さんの親子関係はどう整理されたのかをまとめます。
2020 年に成立した「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」により、卵子提供で生まれたお子さんの親子関係はどう整理されたのかをまとめます。
卵子提供は、ご自身の卵子による妊娠が医学的に難しい方を対象に、第三者の女性から提供を受けた卵子をご夫婦の精子と体外受精させ、得られた胚を奥さま (被提供者) に移植するプログラムです。
2020 年に成立し 2021 年に一部施行された「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」により、卵子提供で生まれたお子さんについて、被提供者である女性が母とされ、夫の同意のもとで生まれた場合には夫が父とされる、という親子関係の枠組みが法律上明確にされました。これにより、卵子提供で生まれたお子さんのご家族における法的地位は、以前より大きく安定しました。
日本国内では JISART (日本生殖補助医療標準化機関) の認定施設が、独自のガイドラインに基づいて卵子提供を実施しています。倫理委員会による審議、3 か月の熟慮期間、専門カウンセリング、出生後のフォローアップなどが組み込まれており、ドナーは原則として匿名・非商業的な提供となります。一方、海外プログラム (アメリカ・台湾・東欧諸国など) では、より多様なドナー選択肢や、半匿名・実名開示など異なる枠組みが整備されています。
民法特例法は親子関係の安定化を中心に整理されたもので、生まれてくるお子さんの「出自を知る権利」「ドナー情報の保管・開示のあり方」については引き続き検討が続いています。ご家族としても、お子さま誕生後にこの経緯をどう語っていくか、いつ・どのように伝えるかを、最初の段階で一緒に考えていただくことをお勧めしています。